Washlava:コインランドリーの小銭、待ち時間問題を解決
コインランドリーの利用時、空いてる機械がない、洗濯が終わってるのにいつまでたっても取りに来ない、小銭がない、両替機がなくて自動販売機しかない、など洗濯をするにあたって非常にストレスフルな経験をした。
Uberなどのように、洗濯機、乾燥機の利用状況から、いつ使えて、どのくらいで終了するのかがユーザーにとってすぐわかる。あるいは小銭はなくてもアプリ経由でカード決済が可能、という解決策はできないものか?と思って調べてみた。
結果出てきたのがまさに上記を可能にしたコインランドリーを提供するWashlavaだ。
企業名:Washlava
設立者:Tod Belveal, Dexter Weiss, Nicholas Pournader
設立:2014年
本社:フロリダ
資金調達:$5.9M (Series A)
投資家:N.A.
(Source: Crunchbase)
アプリで近くのコインランドリーを検索し、機械を予約。
洗濯機の進捗等もスマートフォンでモニタリングしながら、支払いはもちろんアプリ上で完了。
(Source: Angel List)
小銭を用意するのが煩わしい、待ち時間がもったいなどの課題は万国共通である。
むしろさっとネットーサーチをしただけだが、スタートアップ企業が1社しか出てこなかったのは驚きである。正直なところ複数社が取り組んでいると思っていた。
もちろん既存プレイヤーである業務用ランドリーマシンの大手はIoTという名の元に同様のアプローチを試みているようである。
正直なところ"ふわふわ"とか”やさしさ”みたいな機能はいらない。
洗う、乾かすの二つでいい。なんなら洗濯物を入れた時点で量などから自動で乾燥時間を調整してくれるなどの方がユーザーの利便性は高いと感じている。
軽くネットーサーチしただけで面白い情報が出てくるコインランドリー業界、はまりそうである。
参考:
https://www.digikey.com/en/maker/projects/iot-laundry-notification/0e76fa5aea4349ccb756602284644872
Lyft、UberのIPOを前にして思うこと
LyftのIPO(Initial Public Offering、新規株式公開)が近づいている。
企業価値の見積もりはUS$23 Billion、日本円でざっくり2.3兆円。
ライドシェア(Ride-hailing)の代名詞とも言えるUberも4月にはIPOすると言われており、企業価値はなんとUS$120 Billion、日本円で12兆円とも言われている。
ライドシェアを自動車メーカーと比較するのも違うかもしれないが、2017年のデータを拝借してLyft, Uberの企業価値の規模感を見てみたい。
Uberはトヨタ自動車には及ばないものの、Daimler社を遥かに引き離す位置にプロットされる。
Lyftは上記棒グラフではランク外になるが、スズキ自動車と同じ程度である。
自動車メーカーに囚われず、日系企業の時価総額ランキングで比較してみても、Uberは2位か3位に。Lyftで55位程度にランクインする。もちろんIPOの瞬間風速的な数値予測であるが、それぞれ2009年、2012年の創業であることを考えると10年あるいはそれ以下の短期間にすごい勢いで駆け上がってきたことに驚きを禁じ得ない。
もちろんごぼう抜きされるのは米国市場も同じだ。3Mをはじめとした大手企業の上をいく企業価値、時価総額をUberが達成するかもしれないのだ。
両者とも現在までで利益は出ていないが、500%を超える成長率を看板に投資家たちの熱い期待が高まっているのだろう。
ライドシェアの2社に限らず、2019年はIPOを予定している企業が多数いる。
シェアリングエコノミーの先駆者であるAirbnb(2008年創業)、コワーキングスペースでSoftbankからの出資を受けたWeWork(2010年創業)、コミュニケーションツールのSlack(2009年創業)ウェブ上の写真をスクラップできるPinterest(2009年創業)などである。
引き続き情報には目をつけておきたい。
それにしてもUber、Lyftだけでなく今後IPOを控えている企業たちをみると、今の我々、特に若い世代にとっては当然のように身の回りに存在し、なかった頃が想像もできないサービスを提供する企業が多い。
これらの企業の創業時に、あるいはアイデアを聞いた時に、「よし!投資しよう!」と決断した投資家たちは本当にバケモノだと思う。10年間待ちわびていた刈り入れ時に、喜びもひとしおだろう。
さて、私はシリコンバレーにいる間に、額の間から天を突く美しい角を生やし、空高く駆け上がろうとするユニコーンの雛たちに相見えることはできるのだろうか。
参考:
会計のない、新時代の小売店へ挑む企業たち
欲しい商品を選んだら、会計なしで退出するだけという画期的な仕組みを導入したAmazon Goだが、同様に会計なしシステムに名乗りをあげるスタートアップもすでに複数誕生している。
しかも2019年には日本でも仙台で試験運用が始まる計画もある。
- AIpoly (2015年設立、本社サンフランシスコ、調達??)
- AiFi (2016年設立、本社サンフランシスコ、調達$4M)
- Standard Cognition (2017年設立、本社サンフランシスコ、調達$50.6M)
- Trigo Vision (2017年設立、本社イスラエル、調達$7M)
- Zippin (2018年設立、本社サンフランシスコ、調達??)
主な構成:
いずれの企業もシステム構成は大きくは変わらない。顧客はアプリを利用して入店し、天井に設置されたカメラ画像を利用して顧客と商品のトラッキング。Zippinは選ばれた商品の確度を高めるために商品棚に秤を入れているが、他の企業は基本的にはカメラの画像処理のみで実現可能だとしている。
ビジネスモデル:
SaaS + a BOX 型。
店舗へのカメラなどに設置するハードウェア開発も行うものの、デバイス販売ではなく、システム運用への対価としてサービス料を徴収するモデル。
差別化要因:
正確さと導入コストが鍵であろう。
正確さ、とは各社が競っているカメラ画像処理による商品認定を如何にリアルタイムで正確に行うというものである。
各社が主なデータとして利用している画像を取得するためのカメラの費用が店舗側のコストとして大きく跳ね返ってくる。少ないカメラでの実現、秤が不要などを謳い、導入コスト減に取り組んでいるようだ。
その他、自動で棚卸しが可能となり店舗内スタッフ業務の大幅軽減も売りの一つとなっている。
実店舗への展開:
Zippinはサンフランシスコでモデル店舗を運営しているようだ (link)。
また、Standard Cognitionは日本進出を決めており、2019年初期に仙台市に試験用店舗をオープンするという。2020年の東京オリンピックまでに3000店舗を目指すというから驚きである。
実際に会計なしシステムの普及は着実に近づいているようだ。
もちろん家族で入店して一つのアカウントに紐づけられるのか?などの疑問は残るが、これから少しずつ解決していくだろう。
ZippinのCEO曰く、斯様なシステムの導入によって人間が1箇所にとどまってバーコードを読み取らせるという作業から解放され、より人間にしかできない仕事、サービスに従事することが可能になるという。
小売店に関する技術はもちろん会計なしシステムだけではない。下に示すようにありとあらゆる分野で新たなアイデアがしのぎを削っている。
仕事が奪われる!のではなく、仕事がどのように変化するのか?と捉えて今後の流れに注目していきたいと思う。
以下、参考
Amazon Go:カメラと秤
在サンフランシスコ日本総領事館に向かって歩いていると、ふいに "amazon go"の文字が目に入った。いつかCMをみて感銘を受けた実物が目の前に。ということでアプリをダウンロードして入店してみた。
体験:
動画の通り、入店し、商品を手に取って、外に出るだけ。実に簡単である。
30年以上も対人であれ無人レジであれ「会計」という行為に慣れ親しんできたので面食らったが、入店時にアプリを起動してQRコードを読み取らせた後は何もする必要がないことに感動を覚えた。いやぁ、すごい!
仕組み:
Amazonは「Just Walk Out Technology」(ただ立ち去るだけ技術?)と呼んでいるようだが、数年前に出した特許の解説などもネットには落ちているものの、実際に何をやっているかは完全にわからない。複数のセンサーデータを組み合わせて利用していることから、自動車の自動運転技術のようなものとも表現されている。
ただネット情報を総合するに「カメラ画像」と「商品の重さ」の2点を主な判断基準に利用しているようである。
カメラデバイスは特注のようだが、基本的にはRGBカメラと距離カメラ(ToF)の組み合わせで、複数のカメラを通じて顧客の行動をトラッキングしている。
顧客の"顔"認識はしていないとのこと。服装含めた顧客の形状から顔を認識せずとも入店時に個別IDを振ってトラッキングする事が可能。
店内の商品は全て計量されており、陳列棚に組み込まれた秤によって、顧客が商品を手に取った際の差分が計量されている。
カメラによって顧客がどの陳列棚の前にいて、どんな商品を取ったかを画像処理であたりをつける。加えて陳列棚の重量の変化からも何の商品であるか確度を高めている様子。
重量も見た目も同じようなものを手に取ったらどうするのか?
私自身、料理酒とみりん風調味料のパッケージが似過ぎていて、買い物終わっていざ料理に使う時まで気づかないこともあるが、Amazon goは対応できるのか?
Amazonは過去の購入履歴から「顧客がどんなものを買う傾向にあるのか」を推察することも行なっているようだ。仮にAmazonに料理酒の購入履歴ばかりであったなら、料理酒を買っただろうと推察するわけだ。このような推察には機械学習が用いられているとか。
完全に無人になるか?:
レジそのものは無人ではあるが、私の入店時には店舗内に3名のスタッフがおり完全な無人ではなかった。
米国ではアルコールを購入時に身分証による年齢確認が必要であるため、Amazon Go内では身分証をチェックするためのスタッフが必要なのだ。
また、顧客の問い合わせに応じて商品の場所を示すこともスタッフの業務である。
私が入店した際には暇だったのかひたすら缶ジュースのラベルをみやすいように調整しているスタッフもいた。
陳列棚での計量とカメラ画像解析を主に利用していることを考えると、商品の陳列を維持することが案外このシステムの肝なのでは?と思う。実際、Amazon goの店内は驚くほどに商品が美しく整然と並んでいた。
定期的に商品を整頓するためにも生身のスタッフは必要で、当分完全な無人にはならないのではなかろうか。
会計を無くす取り組みとしては商品に一つずつ電子タグを取り付け、最終的に機械で読み取る試みもこれまでにされていた。
店舗側に取って電子タグによるコストか、壁に大量のカメラを取り付けデータを処理するコストが上かはわからないが、いち顧客としては圧倒的にAmazon Goのようにただカバンに商品を入れて立ち去れる体験の方が嬉しいと思う。
今は米国内でもごく一部にとどまっているが、これからイギリスなどにも出店していく計画だとか。どのような広がりを見せるのか今後も注目しておきたい。
(次回は同様の技術を持つスタートアップでもまとめてみようと思います。)
以下、参考;
【書評】Uber革命の真実
当たり前が当たり前でなくなる? 書籍“Uber革命の真実”
遠く離れた人とテレビで顔を見ながら会話する、電話をかざすと支払いが完了する、個人同士で直接会う事なくモノの売り買いができる。
いま当たり前のように存在する事も、過去には想像すらできなかっただろう。亡くなった私の祖父母にこんな時代がくると言い聞かせてもきっと信じなかったに違いない。
生活を一変させた出来事は静かにやってきて、気がつくとそこら中に溢れている。いったい斯様な出来事はいつの間に我々の生活に根をおろしたのか?そもそもどこからやってきたのだろうか?
これまで見逃してきた世界の潮流の変わり目を見届けたい人には、この書籍は最適な水先案内人となる。なぜなら実はまた一つ、従来の当たり前をガラリと変えてしまう出来事がすぐそこに来ているのだ。それも疑う事もはばかられるような私たちの日常に密接な「移動手段」に関するところで起きようとしている。
私たちの日々の生活は移動の連続だ。買い物、通学、通勤、旅行、何かにつけてある地点から別の地点に移動をしている。バスや電車の発着時刻、乗り継ぎを調べて目的地を目指す。当たり前のようにこなしている移動のための作業も、乗り継ぎ失敗、早く着きすぎ、遅刻など考えればもっとよくなって欲しいと思い当たることがある。これがもし自分の出発したいタイミングに自分の家の前まで迎えに来て、時間通りに目的地まで送ってくれる乗り物があったらどうだろうか。しかもタクシーと異なり、スマートフォンで目的地を入れれば費用も到着時間も事前にわかり、支払いも運転手と直接やりとりせずにオンラインで決済できてしまう。
これが個人間で乗車を提供する「ライドシェアリング・サービス」だ。
車社会の米国で、不明瞭な料金、行き先を知らないドライバーなど既存タクシーに対する顧客の不満を解決する破壊的なサービスとしてイノベーションの発信地であるシリコンバレーで登場し、文字どおり米国のタクシー会社を破産に追い込むほどに一般利用者の間に普及した。
私自身、米国は北カリフォルニアに住んでおり日常的にライドシェアサービスを利用するが、その利便性には舌を巻く。日本と違い交通インフラが脆弱な米国で自家用車によらず自由に好きな場所に移動可能になるとはライドシェアが登場するまでは考えたこともなかった。空港で拾ったタクシーに、行った事もない場所について言葉だけで説明する苦労をした経験者には、ただ乗り込むだけでトラブルなく目的地に到着できる事がどんなに素晴らしいか想像いただけるだろう。
「ライドシェアリング・サービス」を提供する企業は世界に複数社存在しているが、本書籍が取り上げるのはタイトルにある通り「ウーバー・テクノロジー社 / Uber Technologies」である。ちなみに本書によるとウーバーとは「すごいもの」を表す言葉だとか。
さて、斯様な画期的なサービスが今までなぜなかったのか。この本では「ウーバー“解体新書”《ウーバーの成功を支えた四つの背景》」と銘打った章をひとつあてがって説明している。GPSとスマートフォンの発展と普及に支えられているなど、技術的なタイミングが合致した事などが述べられており大変興味深い。
また後半の章では「ウーバーの軌跡《世界展開の光と影》」として米国以外へ地域でのウーバー社の奮闘が述べられている。米国内では圧倒的なシェアを誇る同社が他地域では撤退も含めて苦戦の連続である事がよく分かる。苦戦の原因は誤解を恐れずに言えば、同社に配車マネジメントアルゴリズムに強みがあるとはいえ、ビジネスモデルそのものは模倣が可能であり、都市ごとに交通手段の様子が様々である事から地元発の企業が寡占状態を狙い得る点だ。特に移動をサービスとする事から政府自治体からのサポートも地元発企業には厚い。
本書を読み進めるにつけ思うのは、ドライバーと乗客を結びつけるアルゴリズムには独自性があり、一朝一夕で開発できるものではないにせよ、利用可能な技術の各要素は国を問わず誰の前にも平等で目の前にあったはず。さらに既存のタクシーへの不満も多かれ少なかれ誰もが抱えていたであろう事は想像に難くない。そのように誰の前にも技術、課題が揃っていたにもかかわらずウーバーが世界に先駆けて登場した事に個人的には注目したい。イノベーションは起こるべくして起こるのではなく、行動に移す人間がいて初めて起こるもの。本書では特に起業前夜に関する深堀はされていないが、一考に価すると思う。
また最終章で日本へのウーバー社上陸の可能性について論じられている。私個人としては日本の公共交通機関が発達した地域的特性を深く理解した日本独自のサービスが生まれる事を期待したい。本書で示されている通りウーバー社のビジネスモデルは同社しか実現可能なものではないし、同社に日本市場をすんなり献上するのも悔しいではないか。
将来日本市場で斯様なサービスを提供するのはウーバー社か日本企業かは楽しみにとっておくとしても、これまで当たり前だと思っていた移動手段に変化が訪れつつあることは本書を読み通す事で体感できること請け合いである。特に著者自身がサービス提供側のドライバーになった感想(第4章ウーバー体験記)からはリアルなサービスの実態も垣間見える。
欲を言えばタクシー以外の交通手段との関係性や都市部と郊外の違いなどに踏み込んだ議論が欲しかったところだが、ライドシェアリング・サービスに興味を持った方の導入書としては幅広く網羅されている良書と言える。
以上
無知で愚かで、無敵だと思っていた私
中学生がヒッチハイクで米国横断の挑戦に端を発した一連の騒動は、無事に保護され帰国する方向に落着しそうで一安心である。一安心なのだが、私の中には妙に騒ついて落ち着かない部分が残っている。一体私の中の何がそのような気持ちにさせるのか。答えは簡単だ。10年前の私自身が、声を張り上げているからだ。
「お前も一緒だろ?」と。
沢木耕太郎の「深夜特急」、スウェン・ヘイデンの「失われた湖」を読み、世界を旅したくなった私は「バックパッカー読本」を購入し穴があくほど読み込んだ。大学を休学し、神戸港から天津行きの船に乗り、自身初の海外へと意気揚々と旅立った。
日々新しい体験が続いた。中国の電車でおばあさんが日本語を話せたことへの驚き。日本人とわかるまでチベット僧侶に胸ぐらを捕まれた衝撃。マオイストの活動によりインドとネパールの国境で停滞を余儀なくされたこと。日本では体験できないことばかりだ。
いま思い返せば、自分が如何に無知で如何に愚かだったかよくわかる。日本語話せるんですね!嬉しい!じゃないんだよ、なぜ話せるか考えてみろよ。日本人でよかった!じゃないんだよ、なぜ彼らは他の民族を敵視してるのか調べればわかるだろ。何も考えずに危険な思想持った奴らの懐に飛び込んでヘラヘラしてんじゃないよ、何もなかったのはただのラッキーだからな。
旅をしたいと言った時、父は強く反対した。危険だと。私はいっさい聞く耳を持たなかった。許可を求めたのではなく、宣言をしただけだったから。エッセイと旅行ガイドブックを読み込んだだけで無知で愚かな私自身は何も変わっていないのに、準備万端、どこにでもいける気がする無謀さだけが加わった危うい状態。父の心からの忠告も私にとっては雑音でしかなかった。結局父は折れ、「お前が旅の途中で死ぬかもしれないけれど、覚悟して送り出す」と言った。私は何を大げさな、と思っただけだった。危険な事は承知しているけれど、それがどれだけ深刻なものなのか想像も及んでおらず、自分に何か悪い事が起ころう筈もないと露とも疑っていなかったのだ。
あの時の自分の心情を振り返ると、保護されて帰国の途につく中学生の彼の気持ちがわかる気がする。自分は最大限準備した。なんで外野は足を引っ張るんだ。前に進みたい、それだけなのに。申し訳ないよりも、きっと悔しいの方が気持ちが勝ってるんじゃないだろうか。
中学生の彼と、10年前に旅した私と違いは年齢だけだ。彼は未成年で、私は成人後だった、それだけ。行動力や意志の強さは当時の私よりも遥かに彼の方が優っているだろう。誰かが引いた線でしかないけれど、大人として認められた時に再び闘志を燃やして欲しい。
私自身、たまたま幸運だったおかげで無事に旅を終えたわけだが、旅での経験が今の私を形作った事は疑うべくもない。日本を出て見えることは多く、これから世界的な競争が激しくなる中で多様性に身を晒す事は何事にも変えがたい財産になると自信を持って言える。若い人たちこそどんどん世界を目指して欲しいと思う。
だからこそ、年をとった自分にできるのは何と言われようとも若い命が無駄に散らないようお節介を焼くべきなのだと思う。うるせいジジイだ!と言われても関係ない。
諭す相手が成人し、法的に一人の自己責任を果たす能力があると見なされる人間であった場合には、結局最後は相手に委ねるしかない。
いつか息子が旅に出る時も、私にできるのは願う事だけだ。我が息子に、家族に、知人に、災難が降りかかりませんようにと。精神的、身体的な苦難に晒される事なく、成長し、元気に帰ってきてくれるようにと。
無知で愚かで、無敵だと思い込んでいたかつての私が、したり顔で説教をする自分自身に全力で挑みかかってくる今のこの状況を、いつか来る息子との前哨戦と捉えて向き合っておきたかった。
文字にするとまだまだ整理仕切れていないのだが、ひとまずここで終いにしておこうと思います。
Firefly: 走れ広告塔。ライドシェアから広がるサービス
UberやLyftなど街中を走り回るライドシェアの屋根に目をつけた企業がいる。
自動車の屋根の上にデジタルサイネージを搭載し、位置に応じた広告表示を可能にするというのだ。2018年に$21.5Mを調達したFireflyだ。
(Image credit: Firefly)
企業名:Firefly
設立者:Kaan Gunay, Onur Kardesler
設立:2017年
本社:サンフランシスコ
資金調達:$21.5M (SEED)
投資家:NFX, Pelion Venture Partner, Jeffrey Hosenbold (SVF), etc.
Firefly は広告主からの広告料でマネタイズしている。Fireflyはライドシェアのドライバーに無料でデジタルサイネージを提供し、ドライバーは車の屋根に乗っけて走るだけ。月額300ドル程度の収入になる見込みだとか。
デジタルサイネージはGPSに基づく位置情報を利用し、設定したジオフェンスによって地域ごとの広告キャンペーンが打てるのが売り。
さらに加速度センサを利用して道路上の穴の検知や、大気環境データの取得なども行なっており、スマートシティ化を狙う自治体、政府にデータの提供も行なっている。Web上の情報によるとこのようなデータでは今のところマネタイズする気はないらしい。
面白いのはデジタルサイネージがFree-WiFiスポットになっており、同デバイスが普及すればライドシェアの利用者はもちろん街をゆく人々もタダでWiFiが利用可能になる。
創業者のビジョンとして、「移動は無料になる」と考えているとのこと。広告キャンペーンを受けることで移動にはお金をかけなくて済むそうだ。
自分だったら投資するか?
さて、自分が投資家だったらFireflyへの投資機会があったらどうするだろうか。
創業者の2名はStanford、INSEADのMBAホルダーで極短期間ながら同時期にSequoia CapitalでFellowとして従事していたとのこと。目も眩むような経歴に、能力に関して言えばそれだけで投資してもいいかな?と思ってしまう。
創業者のこのビジネスをやりきるモチベーションなどについては会ったことがないので判断できない。自分が投資するなら起業家と直接会うのはMUSTだろうと改めて思う。
個人的には参入障壁が低いように思えるところが懸念点。
デバイスそのものはGPS、加速度センサーとすでに熟れた技術の組み合わせなので他者を排除するのは難しいのではなかろうか。(Google Patentでは見つけられなかった)
もちろんハードウェアからソフトウェア、システムまで垂直統合する事は誰にでもできることではないので、チーム構成が有望かどうかは判断基準になるだろう。
モビリティの世界が変革を迎えている今、従来のOEMもライドシェア企業もエンドユーザーとの接点を如何に抑えるかのゲームになっているように思う。その観点から行くと街中のエンドノードを抑え、Free-WiFiを通じてエンドユーザーとの窓口を確保できる点については魅力を感じる。
UberがLyftを殺せなかったのが最大のミスと言われているが、Fireflyも今後現れるであろう後続を突き放せるほど一気に普及できれば面白いかもしれない。
広告料でどのくらい儲かるの?ハードの生産、維持は?といった観点がポジティブだったら、という前提付きですが、自分にお金に余裕があったら投資するかな。
圧倒的に成功する要因というのを創業者から聞いてみたい。
リードインベスターがFireflyに投資した3つの理由
なお、SEEDラウンドのリードをとったVCが同社のブログで投資した理由を挙げていた。
- A great team with a big idea
- Tech changes mean the time is now
- A community-first mentality
とにかくチームが大事だというところはわかったが、私自身が気になった圧倒的に勝てる要因、競争力については触れられておらず、その辺機会があれば投資家の方々に伺ってみたい。もちろんLimeの創業者やVision FundのManaging Directorにお会いする機会は今のところなさそうだが。
以上
(下記、参考)