Firefly: 走れ広告塔。ライドシェアから広がるサービス
UberやLyftなど街中を走り回るライドシェアの屋根に目をつけた企業がいる。
自動車の屋根の上にデジタルサイネージを搭載し、位置に応じた広告表示を可能にするというのだ。2018年に$21.5Mを調達したFireflyだ。
(Image credit: Firefly)
企業名:Firefly
設立者:Kaan Gunay, Onur Kardesler
設立:2017年
本社:サンフランシスコ
資金調達:$21.5M (SEED)
投資家:NFX, Pelion Venture Partner, Jeffrey Hosenbold (SVF), etc.
Firefly は広告主からの広告料でマネタイズしている。Fireflyはライドシェアのドライバーに無料でデジタルサイネージを提供し、ドライバーは車の屋根に乗っけて走るだけ。月額300ドル程度の収入になる見込みだとか。
デジタルサイネージはGPSに基づく位置情報を利用し、設定したジオフェンスによって地域ごとの広告キャンペーンが打てるのが売り。
さらに加速度センサを利用して道路上の穴の検知や、大気環境データの取得なども行なっており、スマートシティ化を狙う自治体、政府にデータの提供も行なっている。Web上の情報によるとこのようなデータでは今のところマネタイズする気はないらしい。
面白いのはデジタルサイネージがFree-WiFiスポットになっており、同デバイスが普及すればライドシェアの利用者はもちろん街をゆく人々もタダでWiFiが利用可能になる。
創業者のビジョンとして、「移動は無料になる」と考えているとのこと。広告キャンペーンを受けることで移動にはお金をかけなくて済むそうだ。
自分だったら投資するか?
さて、自分が投資家だったらFireflyへの投資機会があったらどうするだろうか。
創業者の2名はStanford、INSEADのMBAホルダーで極短期間ながら同時期にSequoia CapitalでFellowとして従事していたとのこと。目も眩むような経歴に、能力に関して言えばそれだけで投資してもいいかな?と思ってしまう。
創業者のこのビジネスをやりきるモチベーションなどについては会ったことがないので判断できない。自分が投資するなら起業家と直接会うのはMUSTだろうと改めて思う。
個人的には参入障壁が低いように思えるところが懸念点。
デバイスそのものはGPS、加速度センサーとすでに熟れた技術の組み合わせなので他者を排除するのは難しいのではなかろうか。(Google Patentでは見つけられなかった)
もちろんハードウェアからソフトウェア、システムまで垂直統合する事は誰にでもできることではないので、チーム構成が有望かどうかは判断基準になるだろう。
モビリティの世界が変革を迎えている今、従来のOEMもライドシェア企業もエンドユーザーとの接点を如何に抑えるかのゲームになっているように思う。その観点から行くと街中のエンドノードを抑え、Free-WiFiを通じてエンドユーザーとの窓口を確保できる点については魅力を感じる。
UberがLyftを殺せなかったのが最大のミスと言われているが、Fireflyも今後現れるであろう後続を突き放せるほど一気に普及できれば面白いかもしれない。
広告料でどのくらい儲かるの?ハードの生産、維持は?といった観点がポジティブだったら、という前提付きですが、自分にお金に余裕があったら投資するかな。
圧倒的に成功する要因というのを創業者から聞いてみたい。
リードインベスターがFireflyに投資した3つの理由
なお、SEEDラウンドのリードをとったVCが同社のブログで投資した理由を挙げていた。
- A great team with a big idea
- Tech changes mean the time is now
- A community-first mentality
とにかくチームが大事だというところはわかったが、私自身が気になった圧倒的に勝てる要因、競争力については触れられておらず、その辺機会があれば投資家の方々に伺ってみたい。もちろんLimeの創業者やVision FundのManaging Directorにお会いする機会は今のところなさそうだが。
以上
(下記、参考)