Amazon Go:カメラと秤

在サンフランシスコ日本総領事館に向かって歩いていると、ふいに "amazon go"の文字が目に入った。いつかCMをみて感銘を受けた実物が目の前に。ということでアプリをダウンロードして入店してみた。

 

youtu.be

 

体験

動画の通り、入店し、商品を手に取って、外に出るだけ。実に簡単である。

30年以上も対人であれ無人レジであれ「会計」という行為に慣れ親しんできたので面食らったが、入店時にアプリを起動してQRコードを読み取らせた後は何もする必要がないことに感動を覚えた。いやぁ、すごい!

 

仕組み

Amazonは「Just Walk Out Technology」(ただ立ち去るだけ技術?)と呼んでいるようだが、数年前に出した特許の解説などもネットには落ちているものの、実際に何をやっているかは完全にわからない。複数のセンサーデータを組み合わせて利用していることから、自動車の自動運転技術のようなものとも表現されている。

ただネット情報を総合するに「カメラ画像」と「商品の重さ」の2点を主な判断基準に利用しているようである。

 

カメラデバイスは特注のようだが、基本的にはRGBカメラと距離カメラ(ToF)の組み合わせで、複数のカメラを通じて顧客の行動をトラッキングしている。

顧客の"顔"認識はしていないとのこと。服装含めた顧客の形状から顔を認識せずとも入店時に個別IDを振ってトラッキングする事が可能。

 

店内の商品は全て計量されており、陳列棚に組み込まれた秤によって、顧客が商品を手に取った際の差分が計量されている。

カメラによって顧客がどの陳列棚の前にいて、どんな商品を取ったかを画像処理であたりをつける。加えて陳列棚の重量の変化からも何の商品であるか確度を高めている様子。

重量も見た目も同じようなものを手に取ったらどうするのか?

私自身、料理酒とみりん風調味料のパッケージが似過ぎていて、買い物終わっていざ料理に使う時まで気づかないこともあるが、Amazon goは対応できるのか?

Amazonは過去の購入履歴から「顧客がどんなものを買う傾向にあるのか」を推察することも行なっているようだ。仮にAmazonに料理酒の購入履歴ばかりであったなら、料理酒を買っただろうと推察するわけだ。このような推察には機械学習が用いられているとか。

 

完全に無人になるか?

レジそのものは無人ではあるが、私の入店時には店舗内に3名のスタッフがおり完全な無人ではなかった。

米国ではアルコールを購入時に身分証による年齢確認が必要であるため、Amazon Go内では身分証をチェックするためのスタッフが必要なのだ。

また、顧客の問い合わせに応じて商品の場所を示すこともスタッフの業務である。

私が入店した際には暇だったのかひたすら缶ジュースのラベルをみやすいように調整しているスタッフもいた。

陳列棚での計量とカメラ画像解析を主に利用していることを考えると、商品の陳列を維持することが案外このシステムの肝なのでは?と思う。実際、Amazon goの店内は驚くほどに商品が美しく整然と並んでいた。

定期的に商品を整頓するためにも生身のスタッフは必要で、当分完全な無人にはならないのではなかろうか。

 

会計を無くす取り組みとしては商品に一つずつ電子タグを取り付け、最終的に機械で読み取る試みもこれまでにされていた。

店舗側に取って電子タグによるコストか、壁に大量のカメラを取り付けデータを処理するコストが上かはわからないが、いち顧客としては圧倒的にAmazon Goのようにただカバンに商品を入れて立ち去れる体験の方が嬉しいと思う。

 

今は米国内でもごく一部にとどまっているが、これからイギリスなどにも出店していく計画だとか。どのような広がりを見せるのか今後も注目しておきたい。

 

(次回は同様の技術を持つスタートアップでもまとめてみようと思います。)

 

以下、参考;

techcrunch.com

www.wired.co.uk

www.geekwire.com