【物語】コクナーゼ

私を縛りつけていた女をとうとう殺してしまった。

 

反物屋と神父を呼んで、真っ白な布で女を包みきちんと形を整えた。

 

女の髪をとかしていると不思議なことにあれ程疎ましかった顔に美しさを感じた。

 

香油をふりかけ埋葬に取り掛かろうとしたとき、もぞもぞと女が動きだした。

 

湿った布から這い出てきた女は油で濡れた髪をわけて笑顔をみせた。

 

雨の中を反物屋と神父は駆け出していってしまった。

 

私は一歩足を引いたきり動けなくなり、ただ女が近づいてくるのをみていた。