【雑記】アメリカのサマータイム / Daylight saving Timeについて

サマータイムは英語で Daylight Saving Time (DST) と言います。

この記事ではサマータイムを以下DSTと記載いたします。

 

◇ サマータイム(DST)の導入

 時計の針を前後させて日中の長さを調整するアイデアは古くからありましたが、実際にアメリカを含む世界でDSTが始まったのは1918年。

第一次世界大戦の最中に英国、ドイツを始め大戦に参戦していた国々のほとんどが導入しました。

理由は「エネルギーの節約」。当時は石炭が主要な燃料であり、戦争のよる物資不足から文字通り節約のために日を長くすることに主眼が置かれていたのです。米国では石炭業界のロビー活動が決定に影響を与えたようです。

 

◇ アメリカの世論

DSTで時計を進める3月や元に戻す11月にはやはり米国内でも是非についての議論が起こります。

反対派の意見は概ね下記の通り(引用元は最下段);

  • 時計の針を進める/戻した直後は、死亡事故が8%増加する(反対の報告あり)
  • 時計の針を進めた直後の月曜日、心臓発作が25%増加する
  • 時間調整後数日は職場での注意力が散漫になり生産性が下がる
  • 鬱状態を促進する
  • エネルギーの節約にはならない

 

対する肯定意見は下記の通り;

  • 強盗などの犯罪が減少する
  • 経済的効果が大きい
  • 野外活動への従事が増えて健康になる
  • 2、3日健康リスクが高まるにせよ、その他の日は恩恵を預かれるのだからDSTは良い

 

事故の発生率などは統計の取り方によって、DST切り替え時の方が事故が減るなどあり鵜呑みにはできませんが、数日間時差ぼけで生産性が落ちるのは実感としてあると思います。

DST導入時がエネルギーの節約として、経済に直結していたことを思うと、現状でDSTが続いている最大の理由は恩恵を被る業界があるからと個人的には考えます。

 

◇ 経済効果について

  • ゴルフ業界はDSTによって月に200億円〜400億円の経済効果あり
  • バーベキュー業界は150億円の経済効果あり
  • キャンディ業界のロビー活動によってDSTが11月まで延長された=ハロウィンでの売り上げを伸ばすことが狙い

 

◇ 全米が導入しているわけではない

アメリカは現在50の州に分かれていますが、そのうち2つの州はDSTを導入していません。

 

(1)アリゾナ州

  理由:日中が暑すぎる。 昼はもういらん。涼しい夜を長くしたい!

 

(2)ハワイ州

 理由:赤道に近く季節による昼夜の時間差が生じないため、DSTは無意味

 

 

*同じアリゾナ州の中でもナバホ族居留地はDSTを導入しているようです。米国を旅行する際はご注意ください。

 

◇ 日本に導入する効果は?

米国での肯定派意見に照らし合わせてみますと;

  • 犯罪減少 → あると嬉しいですが、米国ほど強盗発生率が高くないので効果薄
  • 経済効果 → 2020年オリンピックに関しては当てはまるかもしれません。それ以降は個人的には懐疑的です。時間が長くなろうが日本の職業人が残業文化をやめない限りは日があるうちは仕事をする、という残業を助長するだけになりそうです
  • 野外活動への従事 → 前述と同じく、残業する限り効果薄

 

 

◇ 個人的見解 

DSTの日本への導入には反対です。

特に著しい効果が期待できるとは思えませんし、オリンピックの稼働時間に懸念があるのならば運営サイドが開始時間等を調整すればいいだけで、国全体で対応する意義が見出せません。

システム変更などの資本投下に見合うのでしょうか。

 

 

以下、参照元

news.nationalgeographic.com

news.nationalgeographic.com

time.com

www.forbes.com

medium.com

www.sciencedirect.com

www.reuters.com

www.brookings.edu