Owl Cameras: 4Gで繋がるドライブレコーダー
あおり運転事件がきっかけで日本でもドライブレコーダーに関心が集まったようである。下図はGoogle トレンドで「ドライブレコーダー」のキーワードを検索した結果。事件直後の2017年10月には鋭いピークがあり、以降は落ち着いたものの以前よりも関心がやや高いか。
一方、米国は自動車社会であり訴訟社会であるためか、日本よりもドライブレコーダーへのニーズは高いように感じている。事故時の証拠としてだけでなく、車上荒らしなどに対する防犯への期待もあろうかと思う。
なお、米国ではダッシュボード近辺に設置するカメラだからか、a dashcam/ a dash camと呼ばれる。
そんなドライブレコーダーに通信機能をくっつけて24時間どこからでもカメラにアクセスできるようにしたスタートアップがいる。
企業名: Owl Cameras
本社:サンフランシスコ
設立者:Andrew Hodge, Nathan Ackerman
設立:2016年
資金調達:シリーズA($28M)
出資者:Sony Innovation Fund, Mitui&Co, Cox Automotive etc
買収歴:Auro Robotics (2017年)
(ファウンダー二人の経歴を見ると、共にマイクロソフトのHololensのチームに在籍しているのでそこからの付き合いなのか。)
下の写真が同社のドライブレコーダーだが、同社が特徴的なのは4G,LTEの通信機能をレコーダーに内臓したことだ。(通信にはAT&Tの回線を利用。)
これによってスマートフォンとペアリングする必要も、WiFiスポットを探す必要もなく、このレコーダーが単体でデータの送信ができるのだ。すなわちドライバーが車内にいなくとも、24時間どこからでもレコーダーで記録したカメラをスマートフォンに送ったり、ライブ映像の確認が可能である。
同社の販促でおもしろい取り組みがある。ドライブ中に誰かと共有したい!というような出来事が起こったことはないだろうか。私は先日、道路沿いに鹿の親子(?)がいて記録したい!と思いました。もちろん運転中なので携帯電話を取り出すなどできませんでしたが。Owl Cameraは音声で映像をすぐにアップできる機能があるようす。しかも撮った映像をすぐにアップできる機能を最大限に生かし、毎日ユーザーからオモシロ映像を募集し、優秀賞として$1,000を進呈して利用者にインセンティブを与えている。
また同社が特徴的なのはサブスクリプションモデルを採用している点にもある。LTE通信を組み込んだが故にレコーダーの本体価格だけでなく、月々の利用料($10)がかかるのだ。
個人的にはこのサブスクリプションモデルが成功するか否かが今後注目したいところ。小売店の評価でもサブスクリプション料金への不満の声を目にする。
データビジネスが多く叫ばれる中、今後多くのデバイスが通信機能を持たせたくなるのが心情だろう。特にライブでデータをやりとりしたい自動車などの環境においては、通信費用を誰が負担するのか?という点がこれからの議論になるだろう。
Owl Camerasのようにユーザーが通信費を負担するとなると、よほどのメリットがなければ嫌厭されることは想像に難くない。
すでに契約しているスマートフォン用のデータ通信あるいはインターネット契約と抱き合わせにするなど、ユーザー負担が目に見えない形になる方が受け入れられはするだろうが、その際デバイス側が負担するのか通信会社が負担するのか。。先行きが楽しみである。
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参考: