LUXE: アプリで呼ぶだけ代理駐車
イノベーションと聞くと世界の人々の生活がガラリと変わってしまうような印象を受けるけれど、実際は自分の生活に根ざした課題に端を発しているんだな、と再認識した。
サンフランシスコの大きな悩みのタネの一つは、駐車場を見つけること、である。市外から車でやってくると屋内駐車場、屋外駐車場、ストリート駐車場、どこもかしこもいっぱいでなかなか駐車スペースを見つけることができず、街をうろうろさまよい続ける羽目になる。
この駐車場問題を解決しようといくつかのアプローチがスタートアップによってなされている。
屋内パーキングの空き状態を見える化し、アプリ上で時間単位で簡単に予約できるプラットフォームを提供するSpotHeroはライバルのParking Pandaを買収してノリに乗っている。(日本でいうところのアキッパ)
空いているストリートパーキングへのナビゲーションに特化したサービスを提供するアプリはParkNavをはじめWazeも提供している。
多様なアプローチの中、アメリカらしいなと感じたのが、バレットパーキングのアイデアを導入したLUXE。2017年にVolvoに買収された(記事)。
企業名: LUXE
本社:サンフランシスコ
設立者: Craig Martin, Curtis Lee
設立:2013年
まず、バレットパーキングとは何か? Web情報から引っ張ってこよう。
ホテルやレストランの駐車サービスのことです。 自分で運転してきた車のキーを係りの人に預けると代わりに車の駐車をしてくれ、外出時には車を出してくれるサービス
そしてLUXEがやったのはこのバレットパーキングを任意の場所で行えるようにしたこと。利用者はアプリ上で同社のサービスを要請すれば自動車を預かりに来てくれる。係に鍵を渡したあとは本人は駐車場を探す心配もなくすぐに本当の目的に集中できる。
帰りたくなったらやはりアプリで呼び出せば、自分のところまで車を持ってきてくれるのだ。
日本の運転代行と駐車サービスが一体化したものと考えて差し支えないかと。
アイデアはLUXEの専売特許でもなく、廃業してしまったValet anywhereやCaarbon、Zirxなどが同様にオンデマンドのバレットパーキングサービスを行なっている(いた)。
この駐車場を探すことへの不満、課題感に対してバレットパーキングというアイデアが出てくるのは米国の都市部という文化圏に馴染みがあるからだよなぁと思うのである。
一方で斯様なサービスが日本ではやるかと言うと個人的には懐疑的であるし、グローバル展開を狙うのがこの手の企業の戦略とは考え難い。Volvoグループとしては自動車販売業からサービス業への足がかりの一つとして買収したのだろうけれど、どのように今後拡大していくのか興味の尽きないところである。