Chariot: カスタム路線で通勤バスに革命を起こす
UberやLyftのようなライドシェアが脚光を浴びて久しいが、自家用車を利用してタクシーにイノベーションを起こすだけがライドシェアではない。
通勤バスを複数の利用者の希望によってルートを調整する、通勤バスのシェアに挑戦しているスタートアップがいた。企業の名前はChariot。
企業名:Chariot
本社:サンフランシスコ
設立者:Ali Vahabzadeh
設立:2014年
出資者:Y Combinator etc.
買収:2016年、Ford Smart Mobilityによって買収(記事)
「いた」と表現したのは2016年9月にFord Smart Mobilityに買収されたからである。
Ford Smart Mobilityの他の投資先など、Ford全体の動きについては別の記事にまとめたい。
Chariotは言わばUberの通勤バス版。
自分の乗車地と降車地を指定すると、最も近い乗り場と降り場を示したバスルートが表示される。バスルートはユーザーの希望によって最適化される。
従来の公共バスのルートでは自分の通勤に使えなかった人も多いだろう。Chriotは同じ方向に向かう人々の希望を集めて作られたルート(crowdsourced routeと表現)を作る。すなわち複数の人の希望をまとめて新たなバス路線をカスタムで作れるのだ。
ライドシェアの普及に伴って浮上している懸念の一つに渋滞の悪化があげられる。
個人が好きな時に好きなところに移動が可能になると、無秩序状態になる。
複数の人をまとめて移動するChariotのような試みは公共交通機関に柔軟性を持たせる点で面白い試みだと思っている。
日本でも有効か?と考えるとすでに公共交通網が発達しているか、そうでない場所は自動車が普及しきているので効果は薄いように感じる。
ただし荷物を運ぶことを考えると、Amazonがオンデマンドで配達員を調達しているように、複数の配送会社の配達先を取りまとめて代わりに配達するサービス、あるいは個人宅の荷物引き取りを配送会社によらず地域ごとにまとめて回収するようなサービスも実施可能な気もする。
Mobility as a Serviceは一品一様に対応するものと、少量多品種のニーズを塩梅良く取りまとめるものがあるとChariotを通じて実感した。これからも斯様な視点を持ってみていきたい。
参考: